生成AIで広告代理店業務の工数を3分の1に削減 ~新人でも高品質な企画・施策をスピーディに実現~

株式会社イリアル
CXプロデュース本部 ソリューションプロデュース1部 部長 加藤 祐 様
株式会社イリアルは、マーケティング戦略の立案からプロモーション施策の実行までを一貫して支援するマーケティング支援企業です。特に、オンライン・オフラインを問わず、統合的なコミュニケーション設計と施策実行に強みを持っています。 今回は、広告代理店業務の標準化と高度化を目的に、AIマーケティング支援ツール「マーケGAI」を導入。その活用方法や得られた効果、そして今後の展望について、イリアルで部長を務める加藤様にお話をお伺いしました。
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課題
広告代理店業界では、生成AIの普及により「企画の質」「施策の量産」が求められ、AIの活用が競争力のカギとなる。
しかし、即戦力となる人材の確保が難しく、新人でも高品質な企画・施策を実行できる環境の整備が必要だった。 -
解決策
業務の標準化と高度化を目的に「マーケGAI」を導入。
AIが戦略立案からプロモーション施策実行までをアシストし、全てのメンバーが一定の水準で企画・施策を推進できる環境を用意した。 -
効果
マーケティング戦略の立案からプロモーション施策の実行までの業務工数を約3分の1に削減。
新人でも質の高い企画・施策を短期間で実行できるようになり、業務の初動スピードが向上した。
課題
広告代理店業界では、生成AIの普及により「企画の質」「施策の量産」が求められ、AIの活用が競争力のカギとなる。
しかし、即戦力となる人材の確保が難しく、新人でも高品質な企画・施策を実行できる環境の整備が必要だった。
事業概要と、加藤様のご担当業務について教えてください
加藤様(以下敬称略):
イリアルで部長を務めております加藤です。広告業界に12年以上従事し、デジタルマーケティング領域をはじめ、オフライン施策と組み合わせた統合的なプランニングまで幅広く手がけてきました。現在は、株式会社イリアルの売上拡大や生産性向上に向けた取り組みをリードしています。
当社はもともとフロンティアインターナショナルの一部門として、イベントを起点としたデジタルプロモーションを中心に活動してきましたが、2024年5月にデジタルマーケティング特化型の広告代理店として分社化しました。現在は、戦略立案からコミュニケーション企画設計、メディア領域を含む施策のデリバリーまで、一貫したサポートを提供しています。
当社の強みは、長年培ったオフラインプロモーションのDNAを基盤に、デジタル領域を組み合わせた統合型マーケティングプランニングです。
少数精鋭の約30名の体制で、幅広いクライアントの課題解決に取り組んでいます。
代理店チームの体制と、それぞれのメンバーが担う役割について教えてください
加藤:
私たちのチームの最大の特徴は、全員がプロデューサーとして多岐にわたる役割を担うことです。
大手代理店のように明確な分業制を設けず、営業、プランニング、プロジェクトマネジメントをすべてのメンバーが兼務する柔軟な体制を採用しています。
この体制により、案件の要件や規模に応じて役割を調整し、効率的に業務を進めることが可能です。ただし、メンバーは専門性が高まっていない領域についても、一定の成果を出す必要があります。

広告代理店業務に生成AIを導入しようと考えた背景を教えてください
加藤:
生成AI導入の背景には、広告業界全体が直面する大きな変化への危機感がありました。
生成AIの登場により、これまで専門的なスキルを持つメンバーが担っていたマーケティング戦略の立案や施策実行が、誰でも手軽に行える時代が到来しつつあります。その結果、「企画の質の向上」と「施策の量産」がこれまで以上に求められるようになりました。
一方、イリアルでは、メンバー間で企画や施策の成果にばらつきがあり、生産性向上が大きな課題でした。特に、経験の浅いメンバーが質の高いアウトプットを迅速に行うには、十分な教育が必要ですが、現在の採用市場では即戦力の確保が難しく、育成には時間とリソースを要します。
そこで、生成AIを活用して業務の標準化・高度化を図り、全員が一定の水準で企画立案や施策実行を行える環境を整え、競争力の高い組織づくりを目指しました。
マーケGAI導入前に生成AIをどのように活用されていましたか?
加藤:
マーケGAI導入前は、一部のメンバーが試験的に使う程度で、本格的な業務活用には至っていませんでした。また、生成AIの知識や活用スキルには個人差があり、使いこなせる人と未経験の人との間に大きなギャップがありました。
このままではAIの活用が組織全体の生産性向上につながらないと考え、まずは誰でもAIを活用できる環境を整えることが必要だと判断しました。
そこで、メンバー全員が無理なく使える、マーケティング特化の生成AIツールの導入を検討することにしました。
解決策
業務の標準化と高度化を目的に「マーケGAI」を導入。
AIが戦略立案からプロモーション施策実行までをアシストし、全てのメンバーが一定の水準で企画・施策を推進できる環境を用意した。
マーケティング業務に特化した生成AIツールを選択された理由を教えてください
加藤:
私たちが汎用型ではなくマーケティング特化型の生成AIツールを選んだ理由は、AIの専門知識がなくても、代理店業務の実務で即活用できることが重要だったからです。
マーケティング業務には、ペルソナ設定、コンセプト開発、コピー作成など、高度な専門知識を要するタスクが多く含まれます。汎用型の生成AIを活用する場合、質の高いアウトプットを得るには「プロンプト」と呼ばれる指示文を適切に作成するスキルが必要ですが、代理店業務の現場では、すべてのメンバーがプロンプトを最適化できるわけではありません。そのため、専門知識がなくても一定のクオリティのアウトプットを得られるツールが求められていました。

また、マーケティングのアウトプットを正確に導き出すには、ターゲット情報や商品情報を適切に組み込むことが不可欠です。汎用型AIでは、これらの情報を毎回プロンプトに手入力する必要があり、それでは業務効率化につながりませんでした。
そのため、「マーケティング業務に特化したテンプレートやフレームが組み込まれているAI環境の方が、現場で実務に活かしやすい」と判断し、マーケティング特化型の生成AIツールを導入しました。
マーケGAIを選定された決め手は何でしたか?
マーケティング特化型の生成AIツールの中で、「マーケGAI」を選んだ理由は、実務に即したフレームワークが組み込まれており、誰でも簡単に質の高いアウトプットを作成できる仕組みが整っていたからです。
特に、マーケGAIの強みは、ターゲット情報や商品情報をあらかじめ登録できる点にあります。これにより、生成AIがアウトプットを作成する際に、毎回プロンプトを手入力する必要がなく、登録された情報をもとに適切なマーケティングコンテンツを生成できるというメリットがあります。

さらに、マーケGAIでは、プロンプトを自分で書かなくても、求めるアウトプットの種類を選択するだけで、適切なターゲット情報や商品情報を考慮した企画やコンテンツを生成できます。このため、経験の浅いメンバーでも、短時間で高品質なアウトプットを作成できる点も大きな魅力でした。
また、マーケGAIは、戦略立案からプロモーション施策、PRまで、マーケティング業務全般をカバーするテンプレートを提供しているのも決め手となりました。ペルソナ作成、コンセプト開発、コピー案の生成、SNS投稿文の作成、プレスリリース作成など、マーケティングに必要な幅広いタスクを支援できるため、業務効率化に直結すると考えました。
結果として、新人でも短期間で一定水準のアウトプットを作成でき、業務の標準化と生産性向上に大きく貢献すると判断しました。

イリアル様の代理店業務の主なプロセスと、マーケGAIを活用している業務領域を教えてください
加藤:
当社の代理店業務は、大きく以下の4つのプロセスで構成されています。
①ビジネス構造の整理
②マーケティング戦略の立案
③プロモーション企画立案・施策実行
④分析・改善・レポート
こうしたプロセスのうち、現時点では 「②マーケティング戦略の立案」「③プロモーション企画立案・施策実行」の業務において マーケGAI を活用しています。
マーケGAIを具体的にどのような業務で活用されていますか?
加藤:
生成AIの活用ケースは多岐にわたりますが、主要な活用方法をお伝えします。
ペルソナ作成(②マーケティング戦略の立案)
ターゲットの顧客像を具体化することは、マーケティングにおいて非常に重要なプロセスです。しかし、専門的な知識が求められるため、従来は作成に時間がかかる課題がありました。マーケGAIを活用することで、商品・サービスの情報やクライアント提供のデータを基に、性格や購買行動を含んだ詳細なペルソナを短時間で生成可能になりました。

カスタマージャーニーマップの作成(②マーケティング戦略の立案)
顧客の態度変容を可視化するジャーニーマップの作成にも活用しています。AIが顧客の行動フローやタッチポイントを仮定し、初稿を作成します。そこからチームで補完・精査することで、戦略全体の共有を従来よりも早い段階で実現できるようになりました。

SNSキャンペーン案・投稿文の作成(③プロモーション企画立案・施策実行)
キャンペーン案や投稿文のたたき台作成にも活用しています。投稿文だけでなく、関連するハッシュタグ案やクリエイティブの方向性も提案されるため、SNS施策全体の効率が向上しました。アイデアの幅が広がり、短時間で複数の案を検討できるようになっています。

広告クリエイティブのキャッチコピー作成(④プロモーション企画立案・施策実行)
広告のキャッチコピーやテキストクリエイティブをAIが多数生成し、その中から方向性に合った案を選んでブラッシュアップしています。短時間で多角的な視点を取り入れたコピー案を用意でき、クライアントニーズに沿ったクリエイティブ制作が可能になっています。

プレスリリースの下書き作成(自社のPR)
新サービスの発表やイベント告知用のプレスリリース作成にも活用。AIが初稿を作成することで、文章構成や見出しを効率的に検討でき、作業時間の短縮につながっています。

このように、マーケGAIを活用することで、マーケティング戦略の立案から施策の実行まで、業務の効率化が進みました。特に、これまで属人的になりがちだった業務を標準化し、一定のクオリティを担保できる仕組みが整いました。
効果
マーケティング戦略の立案からプロモーション施策の実行までの業務工数を約3分の1に削減。
新人でも質の高い企画・施策を短期間で実行できるようになり、業務の初動スピードが向上した。
マーケGAIを導入したことで、業務にどのような変化がありましたか?
加藤:
マーケGAIを導入したことで、企画立案から施策実行までの業務全体の効率が向上し、業務工数を約3分の1に削減できました。特に、ペルソナ設定やカスタマージャーニー作成などの初期アウトプットの作業時間は、従来の30分~1時間から、わずか5~10分へと大幅に短縮されました。
また、AIが生成する多様なアイデアを活用することで、ブレストの幅が広がり、施策の検討スピードも向上。これにより、施策の質を維持しながら、短期間で実行に移せる体制を確立できました。
さらに、新人メンバーでも短時間で一定のクオリティのアウトプットを作成できるようになり、属人的なノウハウに依存せずに業務を推進できる環境が整いました。結果として、チーム全体の生産性向上にも大きく貢献しています。

今後、マーケGAIの活用をどのように発展させていくご予定ですか?
加藤:
マーケGAIの活用が進むにつれ、生成AIが業務に自然と組み込まれる環境が整いつつあります。今後は、さらに活用領域を広げ、すべてのメンバーが当たり前のように生成AIを活用できる状態を目指します。
特に、現在はまだ活用が進んでいないクリエイティブバナー制作や広告コピー開発などにもAIを導入し、業務の効率化とアウトプットの質の向上を図りたいと考えています。
また、単にAIを導入するだけでなく、AIの活用を前提とした業務プロセスをメンバー自身が構築できる環境づくりにも注力。これにより、業務の標準化・高度化をさらに推進し、組織全体の競争力を強化していきます。