プロジェクト

アクティブユーザー率は約80%を維持!
ニップンが実践した生成AI組織浸透の進め方

株式会社ニップン

情報システム推進部次長 兼 DX戦略室長 堀端 亮右 様

情報システム推進部情報企画推進チーム 主幹 荒井 雄一 様

製粉事業本部 製粉営業部 営業第一チーム アシスタントマネジャー 兼 情報システム推進部DX戦略室 主幹 伊藤 和久 様

食品業務部冷食管理チーム マネジャー 兼 情報システム推進部 DX戦略室主幹 吉野 裕一 様

情報システム推進部 DX戦略室 大川 凌雅 様

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生成AIを導入したが、使い方がわからず活用が定着しない。
現場に合わない導入の進め方では、一時的な盛り上がりで終わってしまうこともあります。

製粉事業を祖業とし、加工食品、冷凍食品、中食、ヘルスケア、海外事業へと多角的に事業を展開する株式会社ニップンは、同じ課題に直面することを懸念していました。そんな同社が選んだのは、全社一斉導入ではなく、部署ごとに段階的に広げていく導入アプローチと、現場に寄り添った伴走型の活用支援です。

なぜニップンは段階導入を選んだのか。
どのように現場を巻き込み、生成AIを業務に定着させていったのか。その実践を追います。

  1. 課題

    ・生成AIの活用を定着させるための教育・展開ノウハウが不足していた
    ・情報部門の人的リソースに余裕がなかった
    ・社内での生成AIツールの認知が低かった

  2. 解決策

    ・「体験」を重視した各種施策を実施
    ・選抜部署にてスモールスタートし、段階的に広げることで蓄積したノウハウを活用
    ・各部門の業務を理解するメンバーを推進役とし、現場に寄り添った伴走支援を実施

  3. 効果

    ・全部署への導入が完了し、月1回以上使用しているアクティブユーザー率は約80%を維持
    ・営業育成、業務書類チェック、日報・週報作成など、実務に即した現場発のMANA Buddyが活躍
    ・生成AIがITインフラのひとつとして定着

ISSUE

課題

・生成AIの活用を定着させるための教育・展開ノウハウが不足していた
・情報部門の人的リソースに余裕がなかった
・社内での生成AIツールの認知が低かった

ニップンで生成AI活用を推進する事務局メンバーの皆さん

ニップンが直面したのは、「導入」ではなく「浸透」の壁だった

ニップンが重視した導入後の道筋

ニップンで生成AIの導入検討が始まったのは、ChatGPTが広く注目を集め始めた2023年ごろでした。

生成AIの業務活用には可能性を感じていた一方、企業利用にあたっては、情報漏洩対策や利用状況の管理、継続的に運用できる環境か、といった論点を整理する必要がありました。そのためニップンでは、安全性や管理性を重視しながら、生成AI基盤の比較・検討を進めていました。

しかし、ニップンが直面していた課題は、単なるツール選定だけではありませんでした。本質的な課題は、「導入後にどう全社へ浸透させ、業務に活用するか」という点にあったのです。 どれだけ優れたツールを導入しても、現場で活用されなければ意味がありません。

「導入後に現場で活用されるために、どのような道筋で展開させるかを慎重に検討を重ねました。」(荒井さん)

荒井 雄一さん / 株式会社ニップン 情報システム推進部情報企画推進チーム 主幹

当時はまだ認知度の低かった生成AIを社内に広く展開・定着させるにあたり、情報部門の人的リソースにも余裕がない中で、効果的かつ持続可能な展開設計をどう構築するかが課題でした。

上司が前向きでなければ、部署に根付きにくい

展開設計を検討する中で、もう一つの懸念も浮かび上がっていました。それは部署ごとの温度差です。

「部署のトップが前向きじゃないと、文化として使おうとしないんです」(伊藤さん)

伊藤 和久さん/株式会社ニップン 製粉事業本部 製粉営業部 営業第一チーム アシスタントマネジャー 兼 情報システム推進部 DX戦略室 主幹

現場担当者の関心が高くても、上司(特に部署のトップ)の理解や後押しがなければ、活用は個人の試行にとどまりやすく、部署全体へ広がっていきません。 そのため同社では、上司も含めて生成AIが自部署の業務に対してどのように活用できるかを実際に体験することで、生成AIに対する認知を向上させて組織的な取り組みにしていく必要があると考えました。

APPROACH

解決策

・「体験」を重視した各種施策を実施
・選抜部署にてスモールスタートし、段階的に広げることで蓄積したノウハウを活用
・各部門の業務を理解するメンバーを推進役とし、現場に寄り添った伴走支援を実施

ニップンが選んだ、小さく丁寧な段階導入

なぜニップンは段階導入を選んだのか

こうした状況を踏まえ、ニップンが改めて向き合ったのは、「どのように導入を進めれば、生成AI活用を全社へ浸透させられるのか」というテーマでした。

その中で大きなヒントになったのが、ギブリーが支援する日清食品ホールディングス様での生成AI活用事例です。 部署・職種ごとのプロンプトテンプレートを整備し、現場で成功体験を積みながら段階的に活用を広げていく。その進め方が、ニップンの企業文化や推進体制にも合っていると感じたといいます。

ギブリーによる日清食品ホールディングス様へのご支援事例。 部署・職種別のプロンプトテンプレートを作成し、成功体験を積みながら横展開していった。

いきなり全社へ広げるのではなく、まずは選抜部署にてスモールスタートし、成功事例と展開ノウハウをもとに段階的に広げていく。ニップンは、こうした段階導入のアプローチを選択しました。
こうして同社は、情報漏洩対策や利用状況の管理など、企業利用に求められる安全性・管理性を備えた生成AI環境を提供していることに加え、導入後の普及・定着まで見据えた支援実績を評価し、ギブリーへ支援を依頼しました。

「ギブリーさんを選ばせていただいた理由の大きな一つは、やはり教育と普及・定着のところですね。生成AIをどのように企業へ定着させていくのか、初期のつまずきへの対処方法等をご支援いただけた点が大きかったと思います」(堀端さん)

堀端 亮右さん/株式会社ニップン 情報システム推進部次長 兼 DX戦略室長

全社浸透につなげた、選抜型の導入と伴走支援

では、実際にニップンはどのように段階導入を進めていったのでしょうか。

同社が採用したのは、活用に前向きで、かつ学習のためのリソースを確保できる部署から順に導入していく、選抜型のアプローチでした。 まずは、第1選抜部署として5部署と生成AI推進事務局に対して、実際に生成AIを触りながら、「なぜ思った通りの答えが返ってこないのか」「どう修正すれば期待する回答に近づくのか」等について伴走型の支援を実施しました。

その勘所を事務局のメンバーにスキルトランスファーし、以降は事務局が中心となって第2選抜部署(21部署)、第3選抜部署(27部署)の研修を実施しました。

「一度使って、期待した回答が得られないと、そこで『使えない』と諦めてしまう人もいます。でも、先生がいて、生徒がいて、会話しながら進めていく。そういう形だったので、ユーザーも途中で投げ出さずに済んだのかなと思います」(荒井さん)

実際の業務を対象に、ギブリーの生成AI活用ノウハウをすり合わせながら進めることで、最初のつまずきを放置せず、社内に合った活用の型が少しずつ形になっていきました。
こうして、現場で“実務に使える状態”を一つひとつ積み上げながら適用範囲を拡大。小さく丁寧な段階導入によって、ニップンは生成AI活用をスモールスタートから全社展開へとつなげていったのです。

全社浸透を支えた2つのポイント

こうした段階導入を支えたポイントは、大きく分けて2つありました。

ポイント①:現場を理解する推進メンバーの存在

その1つが、DX戦略室の体制です。ニップンのDX戦略室は全14名体制ですが、専任は5名のみで、多くは事業部門との兼務者で業務と並行して活動しています。その背景には、ビジネスとITの双方を理解しながら、現場に即した形でDXを進めていくという考え方がありました。

実際に、食品業務部冷食管理チームのマネジャーでもある吉野さんは、現場業務への深い理解を活かし、実務に即したAIエージェントを作成し、現場での活用を広げていきました。現場にとっても、情報システム部門へ直接相談するより、同じ部門の業務を理解している人へ気軽に相談できる方が、心理的なハードルは下がります。

「周囲のメンバーから『これってどうやるの?』とよく相談を受けます。兼務者だからこそ、情報システム部門と現場をつなぐ役割を果たせていると感じます。」(吉野さん)

吉野 裕一さん/株式会社ニップン 食品業務部冷食管理チーム マネジャー 兼 情報システム推進部 DX戦略室主幹

ポイント②:管理職・経営層の理解を広げる取り組み

一方で、現場の熱量だけでは、全社への浸透には限界があります。 前述のとおり、上司が生成AI活用に前向きでない場合、現場担当者が活用に積極的でも、部署全体の文化にはなりにくい側面があります。 そこでニップンでは、経営層から理解を広げる取り組みも進めていきました。

例えば、経営会議後の時間を活用し、経営層向けのプロンプトを用意して実際に生成AIを体験してもらう勉強会を実施。他にも、全国の事業場長やマネジャーが集まる会議等では生成AI活用について発信し、管理職の理解も促進しました。

「部下は上司の事をよく見ていますので、上司が前向きでないと部下も前向きにはなりません。様々な形で生成AIを体験する機会を企画し、理解者を増やす活動を進めています。」(堀端さん)

現場、管理職、経営層。それぞれの立場で少しずつ理解者を増やしながら、ニップンの生成AI活用は全社へ広がっていきました。

IMPACT

効果

・全部署への導入が完了し、月1回以上使用しているアクティブユーザー率は約80%を維持
・営業育成、業務書類チェック、日報・週報作成など、実務に即した現場発のMANA Buddyが活躍
・生成AIがITインフラのひとつとして定着

段階導入を重ね、現在はMANAを全部署へ展開

選抜部署から始まった段階導入は、現在では全部署へと展開が進んでいます。
ここで重要なのは、全社員へ一律にライセンスを配布しているわけではない、という点です。
ニップンが重視してきたのは、“配った数”ではなく、“現場で使われる状態”でした。部署ごとの状況に合わせながら進める方針は、導入後も一貫しています。

MANAが、現場ごとの業務に沿った活用を後押しした

こうした活用の広がりを支えたのが、MANAのAIエージェント機能「MANA Buddy」(以下、Buddy)です。
ニップンではBuddy作成の勉強会も実施しており、現場で作成されたBuddyも活躍しています。

「Buddyでは、あらかじめ関連ファイルを読み込ませておくことで、自部署のデータや文脈に沿った回答を生成できるので、現場での活用促進につながっています。」(堀端さん)

Buddyは、安全な環境で社内データを活用しながら、実務に即した回答を生成できることに加え、作成したBuddyを社内で共有することも可能です。 こうした機能を通じて、現場では生成AIを業務へ組み込む動きが広がっていきました。

Buddy活用で広がった、現場発のユースケース

その事例の一つが、商品開発部門での活用です。

「1つの商品情報を入力すると、営業向け、一般顧客向け、社内向けなど、対象に応じた案内文のたたき台を作成するBuddyが活用されていて、業務が効率的になったという声が多く上がっています」(大川さん)

大川 凌雅さん/株式会社ニップン 情報システム推進部 DX戦略室

他にも、若手営業担当向けの商品知識を読み込ませたロールプレイ用Buddy、サプライチェーンを管理する部門向けの冷凍物流に関する相談対応Buddy、営業統括部門では新商品登録申請書の一次チェックを行うBuddyなど、各部門の業務に沿った活用が広がっています。

「これまで細かく確認していた一次チェックをBuddyに任せられるので、申請を受けてから『問題ありません』と返すまでの時間がかなり短くなった実感があります」(伊藤さん)

こうした活用を通じて、AIへ任せる業務と、人が確認・判断する業務を切り分けながら、実務へ生成AIを組み込む動きが現場に根付き始めています。

次に目指すのは、“AIとともに働く状態”

ニップンでは、生成AI活用の展開を「0→1」「1→10」「10→100」の三段階で捉えています。

まだ使っていない人へ広げる「0→1」、使い始めてはいるものの活用が浅い層を支援する「1→10」、そして、便利なツールとして使うだけでなく、業務の中核へ組み込んでいく「10→100」と位置づけ、部署の状況に合わせた伴走支援を実施しています。

「ただ便利に使うだけじゃなくて、業務の中核に組み込んでいく。今後は全ての部署が10→100の、“AIとともに働く状態”を目指していきたいと考えています。」(堀端さん)

導入して終わりではなく、実務へどう組み込み、活用を深めていくか。その視点が、ニップンの生成AI活用には一貫していました。

生成AI活用を組織浸透させるために、
ギブリーの生成AI利活用支援のご案内

ギブリーでは、組織の生成AI活用を「検討」「導入」「普及・定着」から、最終的な「業務変革・事業変革」まで導くAI Enablement支援を提供しています。

今回ご紹介したニップン様の事例は、生成AI活用プラットフォーム「MANA」導入に加えて、企業文化に合わせながら全社へ生成AI活用を浸透させ、実務へ組み込んでいく実践事例です。

・生成AIを導入しても、現場で活用が定着しない
・部署ごとの温度差があり、全社展開の進め方に悩んでいる
・AI活用を一部の業務効率化に留めず、実務へ組み込みたい
・現場発のユースケースを継続的に創出・横展開したい

このようなお考えをお持ちの企業様は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
貴社の状況に合わせたご支援をご提案いたします。

▼「ギブリー AIイネーブルメント」に関する問合せはこちら
https://givery-consulting.com/jp/contact/

▼ニップン様がご利用中の生成AI活用プラットフォーム
「MANA Studio」の資料請求・詳細はこちらから
https://gomana.ai/download/mana-studio/

株式会社ニップン

当社は1896年(明治29年)に、日本で最初の機械式製粉の民間企業として誕生して以来、原料素材から加工度の高い商品を生み出す開発力と小麦製粉で培った技術を様々な穀物や新規素材へ展開した素材活用技術を生かした事業を展開してまいりました。

小麦製粉からスタートし、現在は多くの事業を展開していることから、会社創立125年を迎えた2021年に社名を「日本製粉株式会社」から「株式会社ニップン」に変更いたしました。
 新しいニップングループのスタートにあわせ、当社グループの新たな経営理念として「人々のウェルビーイング(幸せ・健康・笑顔)を追求し、持続可能な社会の実現に貢献します」を策定いたしました。

この経営理念の実現に向け、長期ビジョン2030を策定し、「食による社会課題の解決に挑み続ける総合食品企業」として、当社グループが持つ経営資源を最大限に活かし、事業の成長による経済価値の創出と、社会的価値創出の源泉となる「従業員」「社会」「生活者」のウェルビーイングを同時に実現する成長戦略を推進してまいります。

  • 株式会社ニップン
    情報システム推進部次長 兼 DX戦略室長

    堀端 亮右

  • 株式会社ニップン
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    荒井 雄一

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    製粉事業本部 製粉営業部 営業第一チーム アシスタントマネジャー 兼 情報システム推進部DX戦略室 主幹

    伊藤 和久

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    吉野 裕一

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    大川 凌雅

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