プロジェクト

アース製薬が辿り着いた、GeminiとMANAを併用した生成AI基盤の最適解

アース製薬株式会社

執行役員 経営統括本部 情報システム部 部長 梶 晃 様

経営統括本部 情報システム部 ITインフラ・セキュリティ管理室 室長 作地 昭彦 様

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生成AIを導入したものの、なかなか現場に根付かない。一部の詳しい人だけで活用が止まっている。そんな悩みは、今や多くの企業が直面する壁といえます。

100年以上の歴史を持ち、数々のヒット商品で日本の暮らしを支えてきたアース製薬も、かつては同じ課題に向き合っていました。同社が選んだのは、単一のツールを全社に強いることではありません。日常の動線に溶け込むGeminiを共通の入り口としつつ、特定の業務には、様々なAIモデルの活用や業務特化のAIエージェントを構築できるMANA Studio(以下、MANA)を使い分ける戦略的な「基盤の設計」でした。

アース製薬はいかなる思想でAI基盤を構築し、現場の手放せない相棒へと変えていったのか。背景にある推進プロセスや、特定業務へのAI活用を支えるMANAの真価を紐解いていきます。

  1. 課題

    ・デジタルリテラシーや業務特性に差があり生成AI活用のばらつきががある
    ・汎用チャットツールでは、複雑な業務プロセスの効率化や高精度なアウトプットに限界がある
    ・業務ごとにAI活用の用途が異なり、一律の展開は現実的ではない

  2. 解決策

    ・業務アプリに統合されたGeminiを入口に全社員のAI活用を習慣化
    ・専門業務の効率化や精度向上には、最適モデル選択やノーコードでAIエージェントを構築できるMANAを併用
    ・業務棚卸しやAIの業務組込みを通じて、現場が自らAI活用領域を見出す土壌を醸成

  3. 効果

    ・「これがないと仕事の精度が落ちる」と言われるほど生成AI活用が業務に定着
    ・マネジメント層から自部署の活用状況を把握したいという要望が生まれ、DXの当事者意識が醸成
    ・ギブリーのアドバイザリー支援により、技術変化への対応と社内展開が加速

ISSUE

課題

・デジタルリテラシーや業務特性に差があり生成AI活用のばらつきががある
・汎用チャットツールでは、複雑な業務プロセスの効率化や高精度なアウトプットに限界がある
・業務ごとにAI活用の用途が異なり、一律の展開は現実的ではない

101年目のスタートライン。DXを経営の基盤に据える

アース製薬は2025年に設立100周年という大きな節目を迎えました。今は次の一世紀に向けた、101年目の真っ只中にいます。アースジェットやアースノーマット、ブラックキャップといった虫ケア用品のイメージが強いかもしれませんが、口腔ケアのモンダミンやバスロマン、バスクリンといった入浴剤、さらには園芸用品、ヘルスケア用品まで、アース製薬の事業は多角的です。

この幅広い事業を次の世代へとつないでいくため、同社は「デジタルを経営の駆動力とし、変化を的確に捉え、人々の豊かな暮らしと持続可能な地球の未来を共創するリーディングカンパニー」となることをDXビジョンに掲げています。その実現のため、5つの中長期方針を策定しました。 その方針のひとつが、「AIの活用によるイノベーションと生産性向上」。 具体的には、研究開発における新素材探索や製品企画、社内業務の自動化など、多岐にわたる分野で生成AIやAIエージェントを積極的に活用する方針を打ち出しています。

「AI活用は、単なる業務効率化のツールではありません。社員の創造性を解き放ち、イノベーションを加速させ、生産性の向上を通じて企業の競争力を強化するための重要な『手段』です。 この方針を絵に描いた餅にしないために、まずは我々情報システム部が『AIチャレンジ』の中で、毎月必ず業務にAIを取り入れて報告する取り組みを始めました。泥臭くても、まずは自分たちが実践者になる必要があります」(梶さん)

まずは使える環境を整え、スモールスタートで実績を作っていく。アース製薬では地道かつ力強く、AI活用が推進されているのです。

ツールは揃った。それでも解消できなかった「活用の二極化」

アース製薬の生成AI活用は、国内でも極めて早い段階から始まっていました。生成AI黎明期、同社はまずギブリーが提供する生成AIプラットフォームを導入。全社的な活用の可能性を模索し始めます。その後、大きな転換点が訪れます。普段から業務アプリとして活用しているGoogle Workspaceに「Gemini」が統合され、モデルの精度や機能が飛躍的に進化していったのです。 同時期、ギブリーからはより実務へのAI活用に特化した新プラットフォーム「MANA Studio」がリリースされます。同社はMANAをGeminiと並行して、試験的な活用を継続してきました。

一方で、最新ツールを揃え、導入直後の一時的な盛り上がりから、日々の業務にAI利用を定着させることの難しさがありました。 「トップが推進する部署は活用が進みますが、そうでない部署は個人任せになり、結果として『何に使っていいか分からない』という層が取り残されてしまう。便利なツールがあるだけでは埋まらない、明確な『活用の二極化』が課題として浮き彫りになりました」(梶さん)

情報システム部門がいくら情報を発信しても、実際の業務への組み込み方は現場任せになり、活用度合いに大きな濃淡が生じ始めていました。この「導入はしたが、全社的な定着には至らない」という点こそが、同社にとって大きな課題となりました。

APPROACH

解決策

・業務アプリに統合されたGeminiを入口に全社員のAI活用を習慣化
・専門業務の効率化や精度向上には、最適モデル選択やノーコードでAIエージェントを構築できるMANAを併用
・業務棚卸しやAIの業務組込みを通じて、現場が自らAI活用領域を見出す土壌を醸成

なぜアース製薬は「基盤の併用」を選んだのか

最新鋭のGeminiが日常の動線に入り込んだ今、あえて別のプラットフォームを使う必要はあるのか。議論の末に同社が出した答えは、ユーザーの目的や習熟度に合わせた「使い分け」でした。

AIモデルの選択肢が「アウトプットの質」へのこだわりに応える

まず、全社員が利用する入り口としては、圧倒的にアクセスが良いGeminiが最適です。しかし、一部のリテラシーが高い層や、業務でより精度の高いアウトプットを求める層からは、「一つのAIモデルだけでは物足りない」という声が上がっていました。

日常的に生成AIを利用する層が、共通基盤であるGeminiに加えてMANAを支持した背景には、成果物の完成度を高めるために、AIモデルの選択も含めて最適解を探る姿勢がありました。MANAは、Claude、GPT、PerplexityシリーズなどのAI各社から順次提供される世界最高水準のモデルを、同一画面で切り替え、利用できる環境を提供しています。

(上記は、2026年2月9日時点のMANAのモデル選択画面)

「一つのモデルが出した答えが、本当に最善かどうか判断がつかない場面があります。そうした時、MANAであれば、複数の最新モデルに同じ指示文を投げ、回答を比較・検証することができます。アウトプットの質にこだわるユーザーにとって、この『選択肢があること』は非常に重要でした」(作地さん)

メール作成や要約などの日常業務はGeminiで。 資料作成のような複数プロセスの業務やアウトプットの精度にこだわる場合などはMANAで。 この役割分担が、アース製薬のAI活用の幅を広げています。

特定業務を「自動化」するBuddyの活用

さらに、MANAが選ばれる理由の一つに、業務特化型のエージェントを作成できる「Buddy」機能があります。

単なるチャット形式のやり取りでは、社内独自のルールや、職種ごとの細かなアウトプット形式に対応するには限界がありました。

「MANAのBuddyを使えば、アース製薬独自のナレッジやテンプレートをもとに、特定の職種や業務に特化したAIエージェントを自分たちで簡単に構築できます。

さらに、独自のプロンプト(指示書)を組み込んだBuddyを作成し、それを部署内で共有することで、個人のノウハウを組織全体の『型』として展開することもできます。

業務アプリの中で手軽に使えるGeminiに対し、特定の業務に深く入り込み、専門武器として使い込めるのがMANAでした」(梶さん)

IMPACT

効果

・「これがないと仕事の精度が落ちる」と言われるほど生成AI活用が業務に定着
・マネジメント層から自部署の活用状況を把握したいという要望が生まれ、DXの当事者意識が醸成
・ギブリーのアドバイザリー支援により、技術変化への対応と社内展開が加速

スライド作成を半自動化。現場の工夫が生んだ高度なユースケース

基盤の使い分けが定着した現場では、情報システム部の想像を超えるような事例が生まれています。象徴的なのが、ある社員によるスライド資料の作成プロセスです。彼は、資料作成をMANAの機能をフル活用して効率化しています。

「彼は、スライドの骨子を作るだけでなく、実際にスライドデータを出力するところまでAIに行わせています。アース製薬専用のテンプレートに合わせて、図形を描画したり線を引いたりする工程を半自動化しているのです。

ここまでくると、単なる質問への回答ではなく、実務そのものをAIに代行させていると言えます。結果として作業時間は大幅に短縮され、浮いた時間で本来人間がやるべき企画や思考に時間を割けるようになっています」(作地さん)

熱心なユーザーの中には、PCを立ち上げると同時にMANAが自動で起動するよう設定している社員もいるとのこと。思考のパートナーとして、業務に深く組み込まれている様子がうかがえます。

「AIがないと仕事にならない」。現場の変化と定着への支援

こうした基盤整備と並行して、情報システム部門は現場への定着支援にも力を入れています。

業務の棚卸しから始める、AI実装

「ツールを入れただけでは、やはり使われません。そこで今は、各部門の業務の棚卸しを進めています。現場のメンバーと共に業務を洗い出し、『この作業はAIに任せられるのではないか?』『ここはGeminiで、ここはMANAで』と具体的に切り分けていく。そうした泥臭い対話を経て、初めて『自分ごと』として使ってもらえるようになります」(梶さん)

こうした地道な活動の結果、現場からは「生成AIがないと仕事の精度が落ちる」「もはや仕事にならない」といった声が多く上がるようになりました。

マネジメント層の変化と、外部パートナーの活用

変化は現場だけでなく、マネジメント層にも波及しています。最近では各部門の長から「自分の部署のメンバーがどれくらいAIを使っているか、ログを見せてほしい」というリクエストが届くようになりました。

「これまでは『使ってください』とお願いする側でしたが、今は『どうやったらもっと浸透するか』をマネージャー層が気にし始めています。これは大きな変化です」(作地さん) また、技術の進化が速いこの領域において、ギブリーは情報のキャッチアップを支える役割を担っています。

「新しい機能や他社の成功事例を、我々だけで全て追いかけるのは困難です。ギブリーさんには、導入時の教育支援だけでなく、最新トレンドの共有やアドバイザリーとして相談に乗ってもらっています。迷った時に頼れるパートナーがいることは、生成AI活用を推進する上で非常に心強いですね」(作地さん)

アース製薬が示す、定着に向けた生成AI基盤の使い分け

多くの企業が直面する、導入したものの使われないという課題。アース製薬の事例が提示する答えは、AIを一つのツールとして提供するのではなく、目的や習熟度ごとに最適な環境を用意する視点です。

日常の業務アプリの中で、誰もが触れられるGeminiが裾野を広げる。 専門的な業務や質の追求において、複数AIモデルの搭載やBuddyを備えたMANAが深掘りを支える。

この二つを柔軟に使い分ける環境があったからこそ、アース製薬は組織全体の地力を引き出すことに成功したのです。

未来を創るのは、社員の好奇心

アース製薬の挑戦は、まだ始まったばかりです。

「今は情報システム部がリードしていますが、いずれは各現場が効果的にAIを使いこなし、自分たちの手で業務をアップデートし続ける状態に持っていきたい。これからはさらなる浸透を目指し、各部署に推進役となるメンバーを配置するなど、現場が自走できるような体制を目指します」(作地さん)

創業から100年、数々の製品を通じて新しいライフスタイルを提案してきたアース製薬の歴史のように、これからはAIとの共創という新しい業務のあり方を創り出そうとしています。

MANA Studioのご案内

アース製薬様の事例では、日常の土台であるGeminiと、高度な専門活用を担うMANAを組み合わせる「基盤の設計」が、定着の鍵となりました。

一方で、MANAの真価は「専門家だけのツール」にとどまりません。 生成AIの課題である「使いこなせない」「定着しない」を解決するために設計された、国産のAI活用プラットフォームです。

■ 日本の現場に馴染む、直感的な使いやすさ ギブリーがこれまで国内1,000社以上を支援してきた実績から導き出された、「日本の業務習慣」にフィットするUI/UXを実装。 マニュアルを見なくても、誰もが自然に使い続けられることにこだわりました。

■ 言葉だけで作れる「Buddy」 、専門知識は一切不要 「こういう役割をしてほしい」と自然言語で伝えるだけで、業務に特化したAIエージェント「Buddy」を作成できます。 個人の工夫を組織の資産に変え、全社の生産性を底上げします。

■ 事前のデータ整備不要。データを入れるだけ AI活用で障壁となりがちな、事前のデータ整備も不要です。資料やデータをアップロードするだけで、すぐに業務直結の高精度な回答が得られます。さらに、会議の録画・文字起こしから、最新の様々なAIモデルの活用までをワンプラットフォームで完結。

これら全ての機能を、ISO認証を取得した堅牢なセキュリティ環境で安心してご利用いただけます。

既存環境と組み合わせて「高度化」を図るか。 あるいはMANA一つで、シンプルに「標準化」を始めるか。 MANAには、そのどちらも選べる柔軟性があります。

貴社のフェーズや文化に合わせた最適な導入の形を、私たちと一緒に描いてみませんか。

▼MANA Studioの資料請求・詳細はこちらから
https://gomana.ai/download/mana-studio/

アース製薬株式会社

アース製薬は、「生命と暮らしに寄り添い、地球との共生を実現する」という経営理念のもと、お客様の生活に寄り添い、虫ケア用品、入浴剤、口腔衛生用品など多岐にわたる独創的で高品質な製品を提供してきました。一方、バスクリン社は入浴剤事業を中心に、人々の心身の健康に貢献してきました。これまでも私たちは、互いの強みを活かしながら、連携を深めてまいりましたが、今回の合併はこの連携をさらに深化させるものです。バスクリン社が持つ入浴剤事業の知見や「心地よさ」を追求する文化、また、アース製薬が持つ国内外に広がる販売ネットワークなど両社のリソースとノウハウを統合することで、よりスピーディーかつ効率的に新たな価値を創造していきます。

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    作地 昭彦

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