なぜ上智大学はCopilotとMANAを併用したのか
大学業務に合った生成AI環境のつくり方
大学業務に合った生成AI環境のつくり方

学校法人 上智学院
大学事務の現場には、学内文書の翻訳、掲示・周知文書の作成、大量の調査票や申請書類の確認、問い合わせ対応、想定QAの整理など、生成AIと相性のよい業務が数多くあります。
一方で、生成AIを日常業務に根づかせるには、全員が安心して使える環境を整えるだけでなく、共通業務と部署ごとの個別業務に応じた活用環境をどう設計するかが重要です。
学校法人上智学院(以下、上智大学)では、全教職員が使えるCopilot Chatを共通基盤とし、翻訳業務の促進を図る一方、広報における想定QAの作成や大量文書チェック、施設管理といった実務に踏み込む領域ではMANA Studio(以下、MANA)を併用。用途に応じて基盤を使い分けることで、大学業務に合った生成AI活用を進めてきました。
その結果、学内掲示の日英化率は27.4%から47.7%へ向上。さらに、生成AIは翻訳支援にとどまらず、大学事務の実務そのものに組み込まれ始めています。
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課題
・学内文書のバイリンガル化推進にあたり、文書によっては英語版の発信に多大な時間がかかっていた
・大量の文書確認・整理業務が属人化し、限られた担当者の負担が増大していた
・生成AIを試行導入するも、「全員に配るか、一部に配るか」のライセンス運用で難航した -
解決策
・Microsoft 365の包括契約を活かし、Copilot Chatを翻訳の全学共通基盤として展開
・複数AIモデルの切り替えや※MANA Buddy(以下、Buddy)を、実務に踏み込む用途に併用
・想定QA、文書チェック、施設管理、英文広報誌の校正支援など、部署ごとのユースケースを創出 -
効果
・学内掲示の日英化率が27.4%→47.7%へ向上。所管部署が最初から日英で出す運用が定着
・追加開発なしで大量文書チェックをBuddyで実現。「自分だけで取り組んでいたら絶対に無理だった」
・「AIを使って付加価値を生む大学」に向け、段階的な浸透施策に着手
課題
・学内文書のバイリンガル化推進にあたり、文書によっては英語版の発信に多大な時間がかかっていた
・大量の文書確認・整理業務が属人化し、限られた担当者の負担が増大していた
・生成AIを試行導入するも、「全員に配るか、一部に配るか」のライセンス運用で難航した
文書によっては英語版が出るまでに半年。現場は個別対応に追われていた
上智大学は、国際教養学部や大学院の一部プログラムなど、教員とのやり取りや会議資料を英語で扱う場面が日常的に存在する大学です。
しかし、学内の通知や規程が日本語のみで発信され、英語版は後追いになるケースが常態化していました。
「重要なお知らせが出るたびに、日本語しかない状態が続いていました。英語版をお願いしても、出てくるまでに数か月、ひどいと半年ぐらいかかることもありました。」(鈴木さん)

国際教養学部事務室 チームリーダー 鈴木 彩子さん
翻訳支援ツールを個別に契約している部署もありましたが、全学で統一された環境はなく、業務文書を一般的な翻訳サービスで扱うことへのセキュリティ上の不安もあり、セキュアな環境で、素早く翻訳できる仕組みへの需要は、現場で確実に高まっていたのです。
大学事務を支える「文章を読み、整理し、判断する」仕事
バイリンガル化と並んで浮かび上がったのが、大量の文書確認・整理業務という、大学事務に特有の負荷です。
「大学という組織は、文書・帳票のやり取りが多い環境です。本学も電子決裁の導入によって以前よりずいぶん改善されてきてはいますが、学生や学外とのやり取りはもちろん、学内の事務業務においても、基本的には文書ベースのコミュニケーションが今なお主流です。
そのため職員の業務でも、学生・教職員・学外ステークホルダーといったさまざまな立場の方々から書類を収集し、それを加工・整理しながら何かをまとめ上げる作業が自然と多くなります。たとえば経営企画の部門には、大学のPDCAサイクルを管理する業務があり、PDCAを回す過程で各部署から現状報告の調査票や資料を集め、長所や課題を抽出していくのですが、その際に処理しなければならないテキストは数十万文字にも及ぶことがあります。」(坂倉さん)

総務局経営企画グループ チームリーダー 坂倉 康平さん
経営企画、IR、広報、施設管理、学部事務。業務内容は部門ごとに大きく異なりますが、文章や情報を確認し、整理し、判断につなげるという負荷の高い工程は共通していました。しかし、こうした課題を前にしても、すぐに活用イメージを持てる人ばかりではありません。
そのため、生成AIの活用を実務に組み込み、浸透させるためには、使い方を見せることから始める必要がありました。
「誰に配るか」で止まる。全員展開が難しくなるライセンス運用
もう一つの大きな論点が、限られたライセンスを誰にどう配るのか という運用上の課題でした。
生成AIツールを試行導入しても、利用できる人数が限られていると、現場ではすぐに「誰に配るのか」という議論が起こります。業務負荷の高い部署を優先するのか、関心の高い人から始めるのか、それとも管理部門に絞るのか。限られたライセンスを前提にすると、導入そのものが組織内の調整課題になりやすく、全学的な浸透を進めにくくなります。
解決策
・Microsoft 365の包括契約を活かし、Copilot Chatを翻訳の全学共通基盤として展開
・複数AIモデルの切り替えや※MANA Buddy(以下、Buddy)を、実務に踏み込む用途に併用
・想定QA、文書チェック、施設管理、英文広報誌の校正支援など、部署ごとのユースケースを創出
「50人分を誰に配るかで揉める」全員が使える環境を最優先した
上智大学が最初に下した判断は、一部の人だけが使える環境を作らないということでした。
2023年11月、他大学の先行事例があったこともあり、ギブリーの生成AI活用プラットフォームを導入し、大学事務で生成AIが活用できるかを検証し始めました。しかし、一人ごとのライセンス体系では全学展開に構造的な壁がありました。
「全員使える環境が欲しかったので、全学展開はCopilot Chatという方針にしました。たとえば、ライセンスを50人分だけ用意したとしても、それを誰に配布するのかで揉めるんです。」(相生さん)

IR推進室 室長 兼 学術情報局情報システム室 主幹 相生 芳晴さん
Microsoft 365の包括契約の中で利用できるCopilot Chatであれば、全教職員に一律展開できます。まず全員がAIに触れられる状態をつくる という設計思想が、翻訳業務の全学共通基盤としてCopilot Chatを選んだ理由です。
MANAで「実務に踏み込む」活用へ
全学展開が進む一方で、共通基盤だけでは対応しきれない業務も見えてきました。想定QAの作成、大量文書の整理、施設利用データの確認——。実務で求められるAIの役割は部署ごとに異なり、より深い活用が必要になっていったのです。そこで上智大学が併用を決めたのが、MANAでした。決め手は3つあります。
① 複数AIモデルの切り替え
GPT、Gemini、Claudeなど複数のモデルを同一画面で切り替えられるため、用途に応じた使い分けが可能になります。
② Buddy機能による業務特化型エージェント>
MANAのBuddy機能を使えば、独自のプロンプトとデータを組み込んだAIエージェントをノーコードで作成できます。上智大学では、文書チェックにBuddyを活用し、属人化していた業務の標準化に取り組んでいます。
③ ギブリーによるテクニカルサポート
2026年2月頃、IR推進室では、短期間で膨大な文書のテキストチェックを行う必要がある案件が発生しました。通常のチャット利用だけでは対応が難しい業務量だったことから、相生さんは個別開発の必要性も視野に入れ、複数のベンダーへ相談を進めていました。そうしたなか、ギブリーから提示されたのは「MANAのクレジット増量によって対応可能です」という提案でした。
その後は、ギブリーと連携しながら検証を実施。クレジット数、トークン消費量、コンテキスト長などを踏まえて最適なモデルを選定し、あわせてプロンプト設計も行いました。その結果、一行のコードを書くことなく、Buddyを活用した運用により、大量の文書チェックを実現しました。
「自分だけで調べて、自分だけで取り組んでいたら、絶対に無理でした。この辺りのテクニカルな面でのサポートがあったことは、とても感謝しています。」(相生さん)
MANAの機能とギブリーの伴走支援、これらが決め手となり、上智大学はMANAの活用を進めていきました。
効果
・学内掲示の日英化率が27.4%→47.7%へ向上。所管部署が最初から日英で出す運用が定着
・追加開発なしで大量文書チェックをBuddyで実現。「自分だけで取り組んでいたら絶対に無理だった」
・「AIを使って付加価値を生む大学」に向け、段階的な浸透施策に着手
翻訳業務の改善にとどまらず、大学事務そのものが変わり始めた
上智大学における生成AI活用は、単なる「便利なツールの導入」で終わりませんでした。 全教職員が使える共通基盤と、実務に深く入る特化基盤を使い分けたことで、翻訳、文書確認、広報対応といった大学事務の中核業務に、具体的な変化が生まれ始めています。
学内掲示の日英化率は27.4%から47.7%へ
最もわかりやすい成果の一つが、学内文書のバイリンガル化です。
Copilot Chatを全教職員が使える環境として整備したことで、英語版の作成・翻訳作業を英語ができる一部の担当者や英語版を必要としている学部などの現場に依存するのではなく、所管部署が日本語版と並行して英語版も準備する運用が進み始めました。その結果、学内掲示の日英化率は27.4%から47.7%へと向上しました。
「英語での情報提供がオンタイムで行われるようになったことで、教職員からの『英語版がない』という問い合わせが激減しました。」(鈴木さん)

上智大学では、生成AIの導入によって翻訳業務が効率化しただけではありません。 「日本語で出してから英語版を待つ」のではなく、「最初から日英で出す」へ情報発信の前提そのものが変わったのです。
定期的な文書チェックの効率化を実現
大学事務の現場では、各種申請書類や調査票、帳票類について、記載漏れ、表記ゆれ、項目間の不整合などを確認する業務が定期的に発生します。こうした業務は件数が多く、確認観点も細かいため、担当者の負担が大きくなりやすい領域です。
上智大学では、Buddyを活用することで、こうした確認業務の負担を軽減しています。
この成果の本質は、作業時間の短縮に留まりません。これまで担当者の経験や注意力に依存していた確認業務を、誰がやっても同じ品質を再現できる形に近づけたこと。生成AIを「試してみる」段階で終わらせず、実務の中で継続的に使えるところまで持っていけたことが、大きな前進でした。
複数モデルの活用で、広報対応の質も高まり始めた
広報領域では、対外発信に向けた想定QAの作成において、MANA上で複数のAIモデルを切り替えながら活用しています。同じテーマに対しても、モデルごとに異なる視点や問い返しが出てくるため、一つの発想に偏らず、より多面的に論点を洗い出せるようになりました。
「AIを切り替えると、質問者が変わる感覚があるんです。いろいろな視点で突っ込んでくれるので、QAがかなり肉厚になります。また、それらの指摘を踏まえて発信内容を見直すことで、より丁寧なコミュニケーションにつながる感覚があります。」(菊池さん)

総務局広報グループ 主幹 菊池 亜由美さん
生成AIが単なる下書き作成ツールではなく、思考を広げ、業務品質を高める相手として機能し始めているということです。特に広報や企画のように、正解が一つではない業務において、複数モデルを比較しながら使える環境は大きな意味を持ちます。
「翻訳ツールのAI」から、「業務のパートナーであるAI」へ
注目すべきは、これまで生成AIの活用イメージを持ちにくかった現場にまで、利用が広がっていることです。<たとえば施設管理のような、これまでは活用イメージを持てなかった現場でも生成AIを業務に引きつけて考える動きが生まれ始めています。
「貸し出している施設がどういう使われ方をしているのかを知りたくて、予約状況のデータをMANAに入れて、規定に沿った貸し出しが行われているかを分析してもらいました。関係者に見せたところ、『こんなことがAIでできるんだ』と驚いていました。」(四十万さん)

環境整備グループ 四十万 香織さん(2026年3月まで経営企画グループ)
上智大学では、生成AIが一部の先進的な担当者だけのものではなく、大学事務のさまざまな現場で「どう使えば役立つか」を具体的に考えられる段階に入ってきています。 最初の入口だった翻訳・文章支援から、想定QA、大量文書チェック、施設利用データの分析、英文広報誌の校正支援へ。上智大学における生成AIの位置づけは、「翻訳ツール」から「業務のパートナー」へと変わりつつあります。
次のテーマは、活用の拡大ではなく“定着の質”
もっとも、上智大学ではこれをゴールとは捉えていません。次に見据えるのは、ユーザーの準備度「AIレディネス」です。
「AIツールを導入して、誰もが使いやすいシステム環境を整備することも大事ですが、それと同じくらい重要なのが、AIを使うユーザー側の『AIレディネス』(AI活用の前提となる知識・スキル・経験が整っている状態)を高めていくことだと考えています。」(坂倉さん)

上智大学が描くのは、業務での活用ニーズやユーザーの要求レベルに応じて使用するAIツールを使い分ける「マルチAI環境」の発想です。
まずは全教職員が使えるCopilot Chatを入口に、日常的な業務で生じるタスクの中で、チャットベースでよいのでAIを試す。実際に使い始めて業務効率化への効果を感じることができると「もっとアウトプットの精度を高めたい」「ほかのタスクでも使ってみたい」というように次のニーズが出てくるようになります。そうなると、長文処理が得意なGeminiや文章作成が得意なClaudeといったような複数AIモデルを、会話のセッションを切らずに使い分けられるMANAの機能が有効になります。
また、チャットベースの利用は手軽に始められる反面、同じ作業を繰り返すたびにプロンプトを打ち込む手間が生じます。そこで有効になるのが、Buddyのようなノーコードで誰でもAIエージェントを作れるツールです。反復性の高いタスクを一度AIの動作として設定してしまえば、あとはプロンプトを意識することなく、通常の業務フローの中でAIツールを自然に使える状態を実現できます。
まずCopilot ChatでAI活用の可能性に触れ、その上でユーザーが自分の業務やニーズに合ったAIモデルやより効果的な使い方を考える。その経験を経て初めて、自分の業務・タスクの中で「AIに任せられる」「人間がやらねばならない」部分の見極めができるようになります。そうした理解を土台として、ユーザー自身がAIエージェントを業務プロセスに組み込んでいくことで、AIの業務活用の定着やAIとの効果的な協働につながります。
「組織としてもっとも大切なのは、AI利用の安全性を確保しながら、教職員一人ひとりの業務ニーズのレベルに応じたAIを不自由なく選択的に利用できる環境を整えることです。それが満たされなければ、管理されていない『野良AI』が持ち込まれるリスクもあります。
多様な業務があり、ITへの得手不得手が異なる多くの教職員が働く大学だからこそ、個々のニーズに応えられる環境を組織として用意することが、ユーザーのAIレディネスを高めながら、業務活用の効果を生み出す上での鍵になると思っています。」(坂倉さん)
生成AIを全学に広げることと、実務に深く組み込むことは両立できる。上智大学の取り組みは、その現実的なモデルを示しています。
生成AI・エージェント活用プラットフォーム MANA Studioのご案内

上智大学の事例で定着の鍵となったのは、「全員の入口」となる共通基盤と、実務に深く入るMANAを組み合わせた基盤の設計でした。上智大学がMANAを評価した3つのポイントは、上智大学以外にも、多くのお客様よりご評価を頂いております。
- ■複数AIモデルの切り替え
会話のセッションを切らずGPT、Gemini、Claudeなど複数のAIモデルをワンプラットフォームで使い分けられます。 - ■ノーコードで作れるBuddy
自然言語で伝えるだけで、業務特化型のAIエージェントを作成できます。 - ■安心のサポート体制
国内1000社以上の支援実績に裏打ちされたサポート体制で、課題解決へ伴走いたします。
MANA Studioは、生成AIの課題である「使いこなせない」「定着しない」を解決するために設計された、国産のAI活用プラットフォームです。
Copilotなど既存環境と組み合わせるか、MANA一つでシンプルに始めるか。フェーズや文化に合わせた最適な導入の形をご提案します。お気軽にお問い合わせください。
▼MANA Studioの資料請求・詳細はこちらから
https://gomana.ai/download/mana-studio/

